かっぱのあしあと

網に住む人 

「新聞」を読まなくなってずいぶん経ちました。
せいぜいラーメン屋や散髪屋の待ち時間でぐらいしか読みません。
たとえ読んだとしても、「ふ~ん」で終わり。
なぜなら新聞に書いてあることは既にネットで知っているから。

新聞にとってテレビはずっと前からライバルでした。
だからオリンピックで日本人がメダルを取ったくらいで
すぐに「号外」を乱発して存在感を主張します。
でも今では号外よりもスマホの方が早いし。

恐らく購読数もかなり減っているのでしょう。
一部の新聞はネットでの有料購読を始めています。
じゃぁネット新聞は便利かというと、それほどでもない。
書いてあること、すなわち記事が紙面と変わらないから。
つまりは記事そのものがつまらなくなっている。

最近ではテレビも新聞などのペーパーメディアも
足を使った丹念な取材や深く掘り下げた記事を書かなくなりました。
ネット上にネタはいくらでもあるし、人件費や
取材費を使ってまで集めなくても記事は書けます。
そもそもネット上でのニュースメディアが劇的に増えているので
編集や印刷、配送の手間を使うことなく記事を見せられます。

事実私自身も、最新のニュースなどはネットにある新聞社のサイトや
ポータルサイトでいくらでも手に入れられます。
それらの多くは無料だし、何か事があれば瞬時に更新されます。
また関連事項の検索やリンクも役に立つし、
新聞紙のように読んだ後にもかさばりません。

ただしそこに載っている記事の多くが、前述のように足を使わずに
ネット上からかき集めた「お手軽ニュース」ばかりだったりします。
しかもそれらに対する反響は、決して世論調査などは行いません。
無数に存在する掲示板サイトなどから、一般人(?)のコメントを
集めてくれば、あたかも世論を代弁しているかのように載せられます。

でもそれらのネット上のコメントと言うのは、「ネットユーザー」なる
ある意味で特殊な環境にあるごく一部の種類の人達の意見でしかありません。
ネットユーザーのコメントは本音を反映していることもあります。
しかしその本音と言うのもやはり特殊で狭い世界の認識でしかなかったりします。
ネットユーザーはあたかも何でも知っているかのように振舞います。
でも知っていることのほとんどはネットを通じた伝聞でしかありません。

そんなネットユーザーのコメントを世論であるかのように扱う
一部のネットメディアはまったくの怠慢であると思います。
もっともテレビのニュースでも、ことあるごとに「街の声」を
拾ってはニュースに挟み込んで「かさ」を増やしてみせます。
街の声といっても、東京の銀座辺りを昼間から歩いているという
日本人全体の中ではかなり特殊な人たちの声ばかりです。

お年寄りの関連したニュースとなると必ず巣鴨の商店街という
あまりにも短絡的な発想しかありません。
マスコミと言うとエリートの集まりかと思われがちですが、
実際にはあまりお利口さんではないスタッフに支えられているんですね。

こういった偏った意見を集めてさも日本人の「世論」だというのは
あまりにも単純であまりにも乱暴だと思います。
ましてやネットユーザーの意見を並べて記事ができましたでは
「取材」などという言葉が全くの死語であることが分かります。

インターネットでニュースを見るのは非常に簡単ですが、
そこに寄せられ集められる様々な記事や意見に対しては、
私たちが適切に取捨選択し分析する必要があります。

ネットと言う世界は、現実の世界とは大きく乖離してしまいました。
ネト充とかリア充といった言葉が存在することから見ても、
ネットユーザーなる人種の認識や意見の特殊性には注意が必要です。
「ネットで話題です」「ネットで炎上しました」「ネットで非難ごうごうです」
などといった表現を、なんとテレビでも耳にするようになりました。

テレビ番組でも、制作費を抑えるためにネットにネタを求めます。
くどいようですが、そこで扱われるネットユーザーの声は要注意です。
「街の声」ならまだ顔や声が映し出されますが、ネット上の意見は
顔も声も素性も全く分からない人物の発言なのですから、
意見の真意すら分かりかねてしまいます。

何か有名人が発言したり行動すると、必ずその反響がネットに載ります。
そこには様々な人々の意見が交錯したり衝突したりします。
でもそれらは必ずしも正論とは限らず、また利益を生み出すことも稀です。
人それぞれに持つ意見を表現する自由はありますが、
これほどまでに複雑になったネット社会では結論を導くのは困難です。

世論とは何か。
世論は同じ方向へ向かっているのか。
世論は正しいのか。
世論は日本や世界を動かすことができるのか。
あなたは世論の一部と言えるのか。

震災、原発の報道を通じて世論の危うさを知る。
一方でネットを通じて首相官邸に集まる人々。
彼らの心は同じなのか、はたして「世論」なのか。
現実の社会で口にする言葉とネット上で掲示板に書き込む言葉。
どちらが世論なのだろうか。
ネットユーザーと街の声、どちらが世論でどちらが正しいのか。

ネット社会、現実社会。
同じ人が別々の世界に生きている現代。
果たして何に耳を傾けて何を考えればいいのか。

何も聞かず、何も考えないのが一番楽なのだけれど、
そうやって私たちは原発を認めてしまった。
震災で何を学んだらいいのか、原発をどうして行ったらいいのか、
リアルな意見にも「罠」や「毒」があることが分かった。
でもネットでは相変わらず不毛な議論の連続。

今日は広島原爆の日。
唯一の被爆国(と言う表現自体間違いだと思うけど)である
日本が原子力にどう向き合うのか、よく考えてみよう。


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お~い 聞こえるか~い

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