かっぱのあしあと

草鞋の約束 

平安時代に峠を越える道が整備され、
後に豊臣秀吉の小田原城征伐のために新たな道が作られ、
それが東海道として利用されるようになります。
丸子(まりこ)と岡部の中間地点でもあり、峠を越える人々が
休息を取るために40戸ほどの集落が出来ます。

その後馬車が通るためのトンネルが掘られたものの
木造だったためランプの火で全焼、レンガで作り直したのが
今日「明治トンネル」と呼ばれるもので、真夏でも
ひんやりとした空気を楽しめる貴重な遺産。

その後自動車が通れるようにと新たに「大正トンネル」が、
さらにモータリゼーションに対応した「昭和トンネル」、
そして渋滞対策に「平成トンネル」と、あらゆる時代の道が
残された日本でも大変珍しい場所が「宇津ノ谷」です。


2016070601.jpg
2016/7/3 12:34 Canon G7 X MarkII
55mm相当 絞り優先AE(f/2.8 1/250秒 -1.7EV) WB:5000K ISO:125 宇津ノ谷

家々の軒先にある大きな看板は、およそ400年前に営んでいた
商売からお互いに呼び合っていた「屋号」のようなもの。


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2016/7/3 12:36 Canon G7 X MarkII
38mm相当 絞り優先AE(f/2.5 1/320秒 -1.0EV) WB:5000K ISO:125 宇津ノ谷


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2016/7/3 13:15 Canon G7 X MarkII
77mm相当 絞り優先AE(f/4.0 1/640秒 -0.7EV) WB:5000K ISO:125 宇津ノ谷

毎年七夕の時期には、軒先に笹飾りが祀られます。
旧い街道にひとときの彩が目を惹きます。


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2016/7/3 13:18 Canon G7 X MarkII
78mm相当 絞り優先AE(f/4.0 1/1250秒 -1.0EV) WB:5000K ISO:125 宇津ノ谷


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2016/7/3 12:49 Canon G7 X MarkII
100mm相当 絞り優先AE(f/5.6 1/800秒 -0.3EV) WB:5000K ISO:125 宇津ノ谷

今では迂回する道路やトンネルがあるので、普段はひっそりとしています。
でもかつてここは主要な街道として大勢の人たちがそぞろ歩き、
連なる家々で休息を取っては峠を越えていったのでしょう。
中でも「御羽織屋」と呼ばれる石川家は、豊臣秀吉が残したとされる
羽織を直に目にすることが出来る貴重な場所です。


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1590年に秀吉が小田原城征伐に行く際に、馬用の草鞋を求めたところ
当時の当主が馬は四本足なのに三つしか草鞋を渡さなかった。
その理由を問うと、残りひとつは征伐に成功したら帰りに渡すと。
見事小田原城を落とし帰りに再び立ち寄ると、約束どおり残りの草鞋を渡され、
その機知に富んだ当主を気に入った秀吉は愛用の羽織を授けました。

甲冑の上から羽織るため、丈の割りに幅がゆったりとしています。
しかしその後も徳川家康や徳川慶喜を始め、数多くの大将らが訪れては
秀吉にあやかろうと羽織に触れたり、中には一部をちぎって持ち帰る者も。
(家康らが残した茶碗などもあります。明治天皇も二度拝観しています)
次第に傷みが激しくなったため、戦後国立博物館の手で修復されます。

恐らく秀吉がまとっていた頃は鮮やかな紅白の羽織だったのでしょうが、
虫食いを避けようと頻繁に日干ししたため今ではやや色あせています。
しかし目の前に秀吉や家康など多くの歴史の足跡が存在することに
強く心動かされ、圧倒されるような感情さえ覚えました。

95歳になってもお元気な加藤ときさんが詳しいお話を聞かせてくれます。
その語り口は、まるで実際に秀吉公や明治天皇らと見えたかのような、
目の前に情景が浮かぶような見事なお話で、ひと時暑さを忘れました。
「今は家康さん没後400年で盛り上がってるけど、
今日はこんなに人が来てくれて秀吉さんも喜んでいるでしょうよ(笑」


「歴史」というのは人が作り、人が伝えては遺すもの。
人それぞれの営みは、すなわち「歴史」そのものでもあります。
語り継がれるような歴史を遺せたらいいけど、
せめて写真で自分を残す活動を続けることにします。

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はんべ様

一枚目
坂道沿いにある建造物
400年前に営んでいた・・・・
屋号の文字がインパクトを持ってそれを語っています

二枚目
外壁に飾られた物は近代になってのことでしょうが・・・
まるで当時を思わせるかのようですね
この地を愛し守る人あってのことでしょう

三枚目
階段を降りた先にある道
その道なりに重なりあうかのごとくある街並み
俯瞰撮影されたそれはあまりにも魅力的です

四枚目
やはりこの地への愛着あってこそでしょう
この景観・・・

五枚目
洗濯ハンバーやプランターが見えます
現代の暮らしと共にある旧街道 素晴らしいですね
レトロの町は演出ではありません
感激しました

せめて写真で自分を残す活動を続けることにします。・・
そのお言葉にまた感激しました

撮影アップして下り有難う御座います

りら #sSHoJftA | URL | 2016/07/06 23:59 * edit *

Re: はんべ様

> 屋号の文字がインパクトを持ってそれを語っています
この街道も以前は普通の民家になっていましたが、
街並みの復元が行われ今ではかつての姿を取り戻しています。
これらの看板はその際に作られたもので、昔はなかったんですね。

> 俯瞰撮影されたそれはあまりにも魅力的です
よくある昔ながらの街並みと違い、高低差があるので
様々な角度から見られるのも魅力です。
日本はヨーロッパなどのような
高低差のある街並みが少ないのでいい眺めです。

秀吉の羽織も素晴らしいのですが、おばあさんのお話は
ドキュメンタリー番組なんかより面白かったです。
こういった旧い場所では、地元の皆さんの話は貴重です。

はんべ #- | URL | 2016/07/07 21:03 * edit *

10時を過ぎた頃、草履を履いて近所の空き地に行きました。空が大きく開け、ほとんどの星座が見えます。
さそり座♏を眺めていたら、大きく尾を引いた流れ星が見え😃二人の息子も大喜び😆💕他にもいくつか見えました🌠

山崎明美🍀 #- | URL | 2016/07/09 23:11 * edit *

Re: タイトルなし

> 10時を過ぎた頃、草履を履いて近所の空き地に行きました。
つかの間の星空にも心躍ります。
早く梅雨が明けるといいですね。


はんべ #- | URL | 2016/07/11 01:10 * edit *

七夕飾りの軒から子供が躍り出て、賑やになった様子が目に浮かびます🎵
小学校でたなばたさまや星めぐりのうたを、箏で弾きました😃

山崎明美🍀 #- | URL | 2016/07/11 22:28 * edit *

Re: タイトルなし

> 七夕飾りの軒から子供が躍り出て、賑やになった様子が目に浮かびます🎵
七夕はいつまでも子供たちの夢を誘いますね。
星にお願いをかけるなんてこんな時ぐらいでしょう。

はんべ #- | URL | 2016/07/12 22:51 * edit *
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